「戦う操縦士」と飛行機 Flight to ARRAS and airplane
サン=テグジュペリの小説「戦う操縦士」は主人公(作者本人)が行った偵察飛行をベースにした小説だ。フランス国土がナチスドイツに蹂躙され、すでに敗戦に向けて混乱する中、1940年5月23日に行われたドイツ軍戦車部隊に対する偵察飛行をもとにしている。サン=テグジュペリの小説は色々な視点や次元で考えることができるため個人的に大好きだ。今回改めて読み直した。
当時すでに40歳、小説家として世界的な名声を得ていた彼だが、あらゆるVIP待遇を断わり、予備役として一般の前線部隊に自らを置いていた。「行動」・「絆」ということばが彼の小説には頻繁に出てくる。彼のいた2-33偵察飛行隊の未帰還率は30%であったという。
フランスの飛行機についてはあまり詳しくなく、このBLOCH M.B.174 という飛行機についても今回初めて詳しく調べた。BLOCH M.B.174は第二次大戦開戦当時、二流機の多かったフランスの中ではまれに見る高性能機で、部隊配備が1939年3月だから、このフライトも新鋭機で行われたことになる。正確でリスクの大きな強行偵察飛行を行うには非常に高い飛行技術が要求される。もともと民間飛行士であったサン=テグジュペリはここに至るまで何回も墜落や不時着(「人間の大地」や「星の王子様」でも語られる)に遭遇しているので、どの程度の操縦技術があったのかと思っていたが、この「戦う操縦士」の中に実名で出てくる航法士兼偵察員デュテルテ氏は、戦後この飛行について語り、サン=テテグジュペリの卓越した操縦技術について証言している。
そんなことをつらつら考えながら、この飛行機を水彩で描いてみた。
BLOCH M.B.174 is an actualairplane that Antoinede Saint-Exup´ery conducted a dangerous reconnaissance mission on May 23, 1940 duringBattle in France. The event was dramatically described in his novel Pilot de Guerre (Flight to Arras). This isone of my favorite novels.